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まうまうっとねー。

まうまうっとねー。

内田善美『星の時計のLiddell』

書籍名:『星の時計のLiddell(リデル)』
著者名:内田善美
出版社:集英社(絶版。復刊予定なし)

内田善美の描くキャラクターは、硬質かつ繊細な描線でありながら、なおかつみずみずしさをもっている。それは『草迷宮・草空間』でも遺憾なく発揮されている。
なーんて堅苦しいことを言うまでもなく、彼の作品は実に実に哲学的・形而上学的で、思春期の若者の心をわしづかみにしたもんだ。ときどきでてくる目テンの顔もキュートだしね(ほら、岡野玲子の『陰陽師』でもあるでしょ?あれに似てるかな)
今の若者も、わしづかまれるんかしら?無理かな?世代の差?(笑)

このお話は雑誌「ぶ~け」に連載されて、毎回毎回ほんとうに続きが楽しみだった。連載でよくもまあこの画質・ストーリーを保てるもんだと感嘆したもんだ。
謎解き=夢の少女探しの旅に出る二人の青年。その旅の途中で交わされる、人々との対話の数々。

「君は同じ話を二度しない。 驚くね」
「私はこの世に何物も生み出すことなく、死んでいくのだった」

透徹した目を持ちながら、いや持つが故に、諦念を抱えて旅を続ける彼の言葉、葉月という名の少女の語る言葉、教授の語る言葉、まっすぐに「真実」を信じて「そこ」へ行こうとするヒューのまなざし。

幻想的な、驚愕の、それなのに「そうなる」とどこか予感していた結末……

すべてが美しい、どこか寂しい、金木犀の香る幻想をめぐる物語です。


単行本は初出時より全部で30ページ以上書き足されています。
雑誌もいっしょに持っていればよかったなあ……


点数:
スリル  ☆☆☆★★
泣ける  ☆☆☆☆★
ドキドキ ☆★★★★




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